岡檀(まゆみ)さんのこの本を誰かに勧められて、手に取りました。

徳島県海部町での研究を元にした自殺予防因子の研究。

自殺率の低い町にどのような特性があるか。フィールドワークを中心にまとめておられます。

私自身、もともと両親が四国出身で、随所に現れる徳島弁の地域住民の台詞が心地よかった。

「ほないなこと、野暮ったい。」

なんとも言えない感じです。

印象深かったのは、

「他人に関心を持つが、冷めやすい。良い距離感で生活をする」

「病を市にだす」

「一度目はこらえたれ」

といった、地域特性。

いろんな人がいてよいという町の風土があるから生きやすい。そして、弱音を吐いても、スティグマにならない。人間本位の評価であり、後に他者から批判されるようなことは「野暮ラベル」を貼って、若い時からその意識が育つ。

 最後に「自殺した方を批判するわけでも責めるわけでもない。自分の力ではどうすることも出来ない苦難に押しひしがれて自殺へと追い詰められたのだから。」と述べておられ、その上で、そうならないための対策としてこのような研究を続けておられると。

 医師が「対 人」として治療を行っても介入できない要素がたくさんあったように思います。bioで考えると医師がまず行わないといけないのは、病気や怪我の治療です。ただその一方でsocialな部分でのこのような地域特性で健康寿命やwell-beingが変わることも知らないといけません。医師が主導で行う必要はないと思っています。ただ、チームで行う必要があり、その一員として医師や医療者は必要です。

 へき地や山間部では、そのような視点をもった医療者を育てることも意識する必要があったり、医育機関でdiscussionをする機会があってもいいと思いました。オススメの一冊です。

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