今年はフル参加できず、1日のみの参加。でも、参加したかったものはいくつか見れたので満足です。そして1年に一度しかお目にかかれない諸先輩方や全国で頑張っている若い先生たちと会えるのも良いものだと改めて思いました。

 救急医学会のお偉い方々が問題提起されている内容の一つに救急内容の変化があります。

 高齢者救急  地域での救急体制

これが一つのトピックになっています。以前から言われていたもののだいぶその問題意識が都市部でも言われるようになったのかなと思います。自分ごとになって、やっとというところなのでしょうか。

 あるご発表で救急医が増えた病院は、他の専門科医師の離職率も少なかった(ある程度の地方都市でも)

というデータを出していましたが、卵が先か鶏が先か。そもそも働きやすい環境だったから救急医も他の専門科医師も離職しなかったのではないのか。とも思いましたが。

 このデータを元に救急専門医を増やすことで 地方都市の医療が担保されると言われていましたが、果たしてそうなのでしょうか。

 もう一つのパネルディスカッションでは、救急と総合診療が仲良くやっていくことがとても大切とありました。そして、救急専攻医の研修に総合内科をローテーションすることで総合力の向上や入院した後のマネージメントなどだけでなく、相手(総合内科)への理解が深まることでとても有意義だったとありました。

 これはとても同意です。私たち、湘南鎌倉の救急ローテーションはもう15年も前から、内科ローテーションは必須でしたし、だからこそ相手への理解や、救急対応をする上で出口問題を意識しながら診療を進めるトレーニングをしていました。

 高齢者救急や地域(rural)での救急体制については、もう10年も前からそのフロントラインで臨床をしてきたつもりです。救急専門医である必要はないですが、総合力のある救急医、または救急の対応ができる総合医。このような医師の育成を医師の世界でどんどん進めていかないと共倒れになります。

 フロアにおられた重鎮たちが救急専門医を増やしたい、どうすれば増えるか。また、単なる振り分けになるのではなく、やりがいを維持できるのか?と話されているのを前にどうしてもお伝えしたくて以下のように発言させていただきました。

「ここにおられる方々の多くは、大学や都市部の大きな組織で救急医療に携わっておられると思います。私自身は北海道の僻地や離島での医療を経験して高齢者救急や地域での救急医療をずっとやってきました。現在も小さな病院で総合診療医として救急に携わっています。救急専門医は増えません。そもそも医師のパイの上限は決まっているので取り合ったって変わらないですから。それよりも、救急学会がcertificateする半年なり一年なりのプログラムの作成をして地域で救急医療ができる医師を増やすことが現実的です。」

 そもそも、小さい病院でECMOを入れる技術はいりません。それに対応できるコメディカルはいませんので。初療として大きい病院までしっかり繋げる治療・対応ができれば十分だと思います。むしろ、マイナーエマージェンシーや小児診療、整形対応などが幅広くできることの方がニーズがあります。その根底にもちろん内科診療です。これらを指導するのも、救急医ではないのかな?と個人的には思っています。特にER医ですが。総合診療医の先生方も当然指導されていると思いますが。ER型救急医と総合診療医、その両方がカバーし合って初めて高齢者救急や地域での救急体制は維持できると思います。

 では、そこにどうやって救急医を派遣するのか?ということにも焦点を当てないといけません。これはいつもここで言っていますが、ruralの病院に軸を置きながらも定期的に3次救急病院での救急業務ができるシステム作りが有用です。できれば同じ医療圏の中で、週1から月に1回でもコンスタントに。そうすれば、ローテーションも可能でしょうし、やっていくうちにruralの方が好きになる救急医もいるでしょう。

 救急医は世の中のニーズに応えられる医師でありたい

そうおっしゃっていた先生もおられました。私も同感で、自分がやりたいことというよりは社会のニーズに応えることが医師としてやっていくことだと思っていて、10年前と今とでは社会のニーズはどんどん変化しています。高齢者救急は救急搬送の6割以上を占めているのでどちらかといえばmajority。これをしたくないとか、対応するのが難しいと言っていたら、ニーズに応えられていないのでは?と思います。外傷も重症患者のマネージメントも大切であり、それを救急医としてのアイデンティティと考えておられる先生もおられますが、このmajorityをどうするのか?しかも救急車で来院するのに。これは救急医の仕事ではないと言っていいのか。

 10年前に北海道の僻地で「10年先の地域医療」を経験して、今都市部などで直面している高齢者救急の問題を10年前から経験していたと振り返ります。その経験からも救急医を増やしたってそれほど地域の救急体制は安定しません。今の日本に必要なのはmajorityとなっている高齢者救急のマネージメント(入院も含めた)とマイナーエマージェンシー対応ができる医師です。そして、重症救急の集約化です。そもそも重症救急は症例としては少ないのでもっと集約化してその経験を高める方がスタッフにとっても患者さんにとってもアウトカムが良くなると思います。それ以外、集約化の先に残る救急対応をそれぞれの地域病院でやれればそれで済むことですから。

 もう10年も前から同じことを言っているような気もしますが、学会の中で現場からの声をお偉い方々に少しでも届けられたらと思い発言させていただきました。

 最後に、ER医として尊敬する先生から「お、Rural GP! rural generalist! 頑張ってるね。」とお声がけいただきました。とてもうれしかったです。救急医の一つの形としてやっぱり若い先生たちのロールモデルになればと思いました。

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