朝から、病棟回診。患者さんの顔色を見て、食事が取れているか、笑顔があるか、挨拶が帰ってくるか。そんなことを確認しながら、いつも通りに、外来診察。
毎月やってくる患者様。3ヶ月に一度の元気な方。
熱が出たという患者様。顔が腫れたという患者様。お腹が痛いというかた。
いろいろな人がやってきて、なるべく皆さんの不安を軽減できるように診療を行う。
救急隊のかたの病院研修もあるので、救急疾患ではないかたをどのように診療しているか、身体所見として覚えておいたら得することなども少しずつ共有して。
いつもと同じ1日。その日は、午前中の患者さんのマネージメントで昼ご飯を食べるタイミングを逃して、コーヒーを飲んだだけで17時まで過ぎてしまった。
外はもう真っ暗。
一息つくことが出来て、いつもと違う今日を振り返る。
電話をした。「お疲れ様でした。遠くていけなくてごめんなさい。」
朝、とても大切な人が亡くなった。
僕が、初めて主治医になろうと思った人。
中学生のときからお世話になった近所のおばちゃん。
「つけもの、食べるけ?」「お雑煮はもち何個食べる?」「おばちゃんみたいな人のたべもんでもおいしいっていってくれるんけ?」「ご飯粒残したらあかんよ」
「いつも、おじいさんの線香あげてくれてありがとーな。」
3浪して地元の大学に医学部に受かったときも、
「ようがんばったね。ほな、卒業したら、帰ってくるんけ?かえってきぃ。」
「おばちゃん看取ってもらわんと。」
初期研修病院を関東に選んだときも、
「いかなあかんの?遠くなるな。いつかえってくるんや?はよかえっておいでよ。おばちゃん先いってしまうよ。」って。
卒業して10年したら・・・
自分が役に立てる医者になったら・・・
そう思って、結局地元にはまだ戻れなかった。
最後に会ったのは昨年の5月。お祭りのとき。ほんまに会えて良かった。
自分のおばあちゃんより近くにいる分、お世話になったおばちゃん。
おばちゃんのご飯、浅漬け、おせちのカブづけ、シイタケ・・・全部おいしかったぁ。
2ヶ月ほど前から、調子が悪いこと、入院をしたこと、娘さんから聞いて、医師として相談に乗らせてもらった。こんなことしかできなかった。
主治医の先生がとってもいい先生だったって。
地元の病院で大きくはない。でも、とても親身に考えてくれて、話しやすく、家族も安心していました。おばちゃん、最期とてもすてきな顔をしていたんだって。
自分が、遠く離れたところで、同じようにすることができたら、回り回って、自分の大切な人にもいい医療が提供されるのかなと思って、1日をまた過ごす。
落ち着いたら、線香をあげに行くね。
