初期臨床研修の地域研修についてヒアリングをうけました。初めて、国を動かす人に話をする機会を得たように思います。とはいっても、この御時世ですのでオンラインでですが。

話の論点は、

「初期臨床研修の地域研修の期間を現行の1ヶ月から半年に延ばすのはどうか」

それに対する私個人の意見は以下の5つ

1.地域研修の場として、3次医療機関へのアクセスが難しい、かつ、近隣に中規模病院がないところが望ましい

2.初期研修医が現場で戦力(臨床を一人で行う)として働けるように、機関病院での指導と

 地域研修先での指導体制の構築が必要

3.医師としての責任がある立場を作り、それをサポートするのがメンター(地域病院の役割)

4.半年にしても、継続診療の経験が上がるとは思えない

5.地域での学びは、総合診療や地域医療に興味がない研修医にとってもプラスになることは多い

 

それぞれの立場があるので、なかなか話もまとまらないとは思いますし、まず何が問題で、どのような効果があるのかを考えないといけないです。

 地域研修は、あくまで研修であって、研修医は「戦力としてあつかうべきではない」
 
これはわかります。2年間の研修期間は、「教育ありき」ですから。
 でも、2年とか関係なく、専攻医になっても医師はいつまでも「教育を受けながら(自分で学びながら)、臨床をやっていく」はずです。
 じゃあ、3年目になったらいいのか?専攻医が終わったらいいのか?各科専門医としては育ってはいるだろうけど、「地域のニーズを満たす医療」ができるのか?
 卒業して何年?ではないように思います。上級医や仲間がサポートしながら、患者としっかり向き合う、疾患を考える、悩むという工程を経験していくことで成長するのだと思います。
ほどよく責任を持つということが大切だと。やらなければ、人は成長しませんから。
 
「地域医療の戦力としては十分ではないので、戦力として研修期間を延ばすことは、地域医療のためにもならない」
 
というのも、論点がぼやけるように思います。もし、初期臨床研修中に地域研修を延ばすのであれば、機関病院は、それまでに地域で役に立つように研修医に指導すべきです。指導内容やマインドの問題と思います。
 実際、徳洲会グループの研修医や、沖縄県立中部病院の研修医は、研修期間中に離島へき地へ2ヶ月程度行くことがわかっているため(医療リソースの少ないところへ)、行く前までに、必死に必要なことを研修しますし、指導医も指導してから送り出します。
 送り出した後でも、いつでも相談に乗って良いよ!という先輩達がいました。そうすることで、地域に送り出された研修医にとっても、現場にとってもプラスになる。
 
 「離島へき地医療」「地域医療」の定義は難しいですが、リソースが少ないところかつ、三次医療機関へのアクセスが難しいところで研修をするということは、疾患に偏りがなく、medicalな面でのプライマリケア・救急疾患の経験が存分にできます。これらを経験することで、とても成長します。
 
 半年地域にいて、継続的診療の研修になるかと言われると「?」です。日本では、四季を通して春は、花粉症に悩まされたり、夏は熱中症や、イベントがあるから受診はできないとか、秋は食べ物がおいしいから血糖があがったりとか、冬だけ寒いから血圧が高くなったりといろいろあります。それらを2サイクルぐらい経験しないと、去年とこれだけ変わったね。とか、やっぱり今年もこうなったね。とか言えないと思うのです。その間に、家族が亡くなるとか、子供が成人するとか、孫が生まれたとか、いろいろな話をしながら生活が見えるのだと思うのです。なので、初期臨床研修の地域研修に継続性のある地域医療を学ぶというのは1ヶ月でも半年でも変わらないと思います。
 
 将来総合診療や、地域医療に興味がない研修医にとっては意味があるのか?という意見もあると思いますが、人生の半年を専門外の勉強に費やすことは結局プラスになると考えます。地域でも、medicalな部分で将来当直業務に必要な手技・知識の習得や、入院担当患者の専門外の対応での必要な知識を得ることも出来るので。
 
 地域研修期間を延ばすのであれば、
 
「機関病院がしっかりと地域に役に立つ知識・スキルを指導して送り出すこと」
「送り出した後も、現場の指導医と協力して遠隔で指導の協力体制を維持すること」
「そうすることで地域というフィールドは、とても良い教育の場になる」
 →「結果、地域医療の安定供給に繋がる可能性がある」
そう思うのです。
長々と、書いてしまいましたが、今日のヒアリングで自分が伝えたかったことをまとめておきました。備忘録

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