ある人から、紹介されて先ほどNEJMに載っているものを拝見しました。
自分自身が、今オーストラリアにいるからよけいに身近に感じるため、少し自分の意見を加えながら書いてみようと思います。
まず、最初に距離感が全然日本と異なるということをイメージして下さい。このNEJMにもありましたが、医師のいないnursing postというところ(最寄りの病院まで150km離れている)で勤務していた看護師の話です。人口は200人ぐらい。
「まず、150 km離れているところまで病院がない」
そんな地域を日本で想像できますか。北海道でもなかなか難しいと思います。
関東:東京→軽井沢・館山・伊豆ぐらいまで
関西:京都→淡路島
北海道:函館→松前 ×1.5倍
そして、その医療機関も50ベッド以下のとても小さい病院。オーストラリアの中でも西オーストラリア州といって、人があまりいない地域です。
私も行ったことがないのでgoogle mapをみながらですが。
その地域で出来る医療ってどんななのでしょうか。皆さん想像してみて下さい。
今、私が研修をさせてもらっている病院は、クィーンズランド州の中でも、総合診療医(GP)研修として盛んなところだそうです。たしかに、学生も研修医の先生もたくさんいますし、指導医もしっかりいます。ここですらベッド数は40少し。カバー人口2万人ぐらい。
この病院ですら、CTがありません。
この町のprivate clinicに一つあるからという理由で、病院にはありません。
そのため、脳梗塞か脳出血かわからないとき、急性腹症で原因検索が必要なときでも救急車にのせて、病院から町のクリニックへ搬送することになります。
医療者の人であれば、「え?!エコーとレントゲンしか院内にない病院で救急を受け入れるの?」と言う人もいるかもしれませんし、
医療者ではない人は、
「診断も含めて大丈夫なの?」
と思う人もいるかもしれません。
でも、平均寿命は82歳(都市部とへき地では2歳ぐらいへき地のほうが短いようですが。)です。
広大な土地で、それほど多くない医療資源をどのように分配するか。かつ、医療者が疲弊しないための工夫、テクノロジーでカバー出来ることは何なのか、医療経済も考慮して国力が下がらないためにどのように工夫するかをしっかり考えながら、
try and error
しながら、今の医療体制が築かれています。行政と医療者(各学会)、大学が協力しながら
医療の底上げ、発展をしているのだと思います。
全てを真似する必要は当然ないと思います。ただ、日本の医療をさらに良くできるための要素は、オーストラリアから学ぶことはたくさんあると思います。
MRIを中規模病院に置いたり(置くのは、そこに診断や治療のために必要と判断する専門科医師がいるためとも考えられる)、心カテが出来る施設をどこにおくのか。患者データの共有方法(こちらでは、同じ州内であれば、採血結果、レントゲンなどの画像などをどこの病院からでもアクセスフリーです)など
テクノロジーの進歩により、医療の集約化は昔に比べてしやすくなっていると思います。あとは、地域で必要とされている医療はなになのか。どのようなサポート体制が住民も、医療者も、医療経済も納得できる落としどころなのかを考える必要があります。(ガイドラインというか、項目を具体的に挙げる必要があると思います)
大切なのは、ここです。協力体制をどのようにとるか。
まだ、1ヶ月ですが、こちらで後方病院が受け入れを拒むことは一度もありませんでした。電話でコンサルトをして、治療方針を一緒に考える場面も見受けられました。
日本に戻って、これについても個人で考えるのではなくて、行政や大学の先生方と一緒に考えていきたいです。
ちなみに、このjournalでも最後の締めは、
In the absence of other trained medical personnel or resources, the actions of this patient are likely to have had a substantial beneficial effect on the clinical outcome. However, a person’s self-management of a myocardial infarction cannot be considered medically appropriate if any other option is available.
ということでした。