復習する時間:診療した勤務終了時に5分程度の振り返り+翌日再検討10分程度
復習材料: UpToDate Collins先生のVINDICATE-P
「腹痛+意識障害」
ということで、自分でうまく腹痛について表現が出来ませんでした。
なまあくびをしている。
救急隊からの報告では、血圧150/80でしたが、
来院時126/70 脈70台 呼吸回数12回/分SPO296% BT36.8℃
vitalの異常もそれほどではない。
もともと、独居で車の運転が出来るほどの人が
自分の腹痛についてや午前中の行動がうまく説明できない
呼びかけないと自然に目を閉じてしまう
ような状態のため、
「意識障害あり」
と判断。
vital signの異常の一つ
と捕らえて、スピードを上げて診察。
腹痛は「解剖をベースに鑑別を挙げていく」のがわかりやすい
意識障害はあるが、臍周囲から心窩部の痛み
繰り返し「お腹が張っているんだ。便秘ではないか」
と話される。
腹部エコーで、急ぐものかどうかを確認
腹痛で急がないといけない鑑別は?
①大動脈瘤破裂
②大動脈解離
③肝破裂
④SMA閉塞
⑤子宮外妊娠
いわゆる血管系の「つまった・さけた・はれつした」etc
少し待てるが急ぐもの(準緊急のもの)
③腸管穿孔
④胆管炎 胆嚢炎
⑤急性膵炎
⑥卵巣捻転・S状結腸捻転
いわゆる腸管系・消化管系の「つまった・さけた・はれつした/ねじれた」と「炎症」etc
その為にもエコーで腹腔内出血や血管系の確認と小腸拡張などをチェックするのはとても有用
エコーでは、腹部大動脈の腹側、膵臓がある位置でモヤモヤしたものが見える
「?」
大動脈は拡張していないが周囲にモヤモヤしている
「?」
【自分の頭の中】
・典型的な腹部大動脈瘤の破裂にはみえない。
・もし、そうだとしたらvitalはもっと崩れるはず。
・でも、腹部エコーでは異常所見はある。その場所の痛みがある
・なまあくびをしているような「意識障害」がある
鑑別の中から、より強く疑う病歴がないか、診察時間を意識しながら確認しようとするが、うまく答えてもらえない。
飲酒はまったくしない タバコは吸う 外傷歴なし 突然発症ではないような・・・
ぐらいしかわからない
自分の中では、「意識障害」というvital signの異常と腹部エコーでの異常所見を優先と考えて、その他のvital signや痛みの発症様式は非典型と考えたが、あったら嫌な
「大血管系の異常」を除外したくて、点滴+採血が終わると同時に単純CT検査に向かうこととしました。
結果は
「膵頭部周囲を中心とした」脂肪織濃度の上昇」→急性膵炎疑い
CTを取り終えてから30分後ぐらいに採血結果がでて、白血球上昇(22000) AMY(1100) 胆肝系酵素の上昇なし CRP(0.2)
結果が出揃ってから、再度患者さんを診察してみて一致した点
・側臥位で少し屈曲している方が楽
・痛みの最強点は臍周囲
・しつこく聞くと突然発症ではなく、食後から徐々に悪化する痛みが出現
・背部痛はないが、側腹部までひろがるような痛み
後から振り返れば、「血管系の異常を強く疑うエピソードはない」
とは言っても、これは、後出しじゃんけんとも思う。
苦しがっていて、うまく自分の症状を伝えられない(言うのも、めんどくさがっているような状態)人に対して、問診を繰り返すことは、患者本人にとっても苦痛です。
それよりは、実際の診療においては
「意識障害を伴う腹痛」
において、緊急性の高い腹痛を早期に除外するようにスピードを上げて診療することが一番だと思う。
なんでもかんでも、CT、CT、CT・・・となるのは避けたいが、今回のケースについては、
振り返ってみても、やはり同じように採血結果を待たずしてCT検査に行っていたと思う。
行かない理由を探してみたが、血圧、脈拍、呼吸回数、SPO2、体温で言われるvital signが安定しているという理由だけで、採血結果を待ってから動くというのは、違うような気がする。(診療所ではまた別の対応だと思うが、CT検査が可能な病院において)
特に、腹痛で採血結果で方針が変わるものは
①胆肝系酵素の上昇を認めるもの
②AMYが上昇しているもの
この二つぐらいしかない
あわせて、腹部エコーを使えば、
①の胆嚢炎や胆管炎は、胆嚢腫大や肝内胆管の拡張を見ることが出来ればだいたい予想がつく
自分のスキルを振り返ると、
エコーで膵炎の所見について見慣れていなかったこと
だと思う。エコーで、自信を持って「膵炎を疑う」と言えたとしたら、採血結果まで待っていたかもしれない。だとしても、膵炎を起こしうるrisk factorがあまりない病歴だったので、痛がり方からは早期にCTを撮っても悪くはなかったかとも思う。
入院してからの経過については、他科の先生に治療をお願いしたのでカルテ上で追いかけることになりましたが(現在、発熱対応のため、外来勤務に集中しているため、病棟管理はお休み中)、重症度分類や標準的な治療についてdiscussionをします。
というようなことを研修医の先生と振り返りながら、毎日を過ごしています。
