この一ヶ月は、怒濤でした。この地域でもコロナ感染者が爆発的に増えたため、今までのやり方、システムでは対応出来ないため、日々状況に応じて変えていかないといけませんでした。そうは言っても、医療者側の人数が増えるわけでもなく、医療者にも家族がいるわけで、濃厚接触になったり、感染もするわけで。
そうすると、むしろ医療者も対応出来るものが少なくなり、感染していない医療者への負担は更にupするわけで・・・
そう、個々の踏ん張りがきかないぐらいみんなが頑張ってくれている一ヶ月です。ほんとうに皆さんお疲れ様です。
この状況で、通常の医療の提供をするということはやはり、どう考えても難しいです。災害モードとして動かないと対応できず、医療機関も生き残れないと思っています。
「医療を平等に届ける」
ってとても難しいです。機会として平等とするのか、アウトカムを「死なないように」平等とするのか。
公衆衛生学的な話や医療政策の観点からすると、後者を優先にするべきなのか。
超高齢の患者を優先的に入院させてコロナ病棟が埋まっていくのも何か違和感を感じています。もともと食事がほとんど取れていなかった方や、経管栄養で過ごされていた方、呼びかけに対して応答の元々ない方など、遠方の保健所や県調整本部からの連絡があり、入院を受ける。
感染隔離期間が過ぎても、食事が取れない為点滴をする。→行き場所がなくなる…
療養病院がいっぱいのため、救急病院のベッドが埋まってしまう・・・→新規の救急患者を受けたくても入院ができない
また、若い人やリスクの低い方の発熱外来で思うこと
インフルエンザの時と同じですが、基本的には、重症化しづらい。症状としては辛いですが・・・
そして、そういう人に対してはタミフルを飲んでも飲まなくてもアウトカムはそれほど変わらない。むしろ対症療法の薬が即効性がある。そしてそれらの薬はOTC(Over the Counter:薬局で置いている薬)で対応可能。
「呼吸が苦しい。」「水分摂取が全然できず嘔吐している。」「意識が悪い。」
こういった症状がない限り、病院を受診するのは本来控えてもらいたい。
ただし、こういった文化を創ったのは「医療者である」ことも問題であげておきます。
諸外国で、このような症状で病院受診をすると、ものすごく高い診療費が取られるか、6時間待ちぐらいが当たり前。
日本の国民皆保険の弊害でもあるが、自身が払う金額が安すぎる。そして、個人が払うのが安いからいいだろうと診療所や病院が受診を励行してきた可能性が高い。
そして、そうしないと病院経営自体がうまくいかなかった診療報酬にも問題があるのかもしれない・・・
そして、何よりの弊害は国民が「自分の健康問題を自己管理」しなくなったこと。
「専門じゃないからわからない。」「病気のことはわからない。」
と言って、少し調子が悪くなったら、アクセスの良い医療機関へ行く。その場しのぎで良くなるので、同じことが起きても、また医療機関へ行って問題解決をする。
車の整備と同じなのかもしれない…(何かあったら、とりあえず整備工場へという感覚)
人間の体は、複雑なようでとてもシンプル。
人が死ぬときは、心臓か呼吸器系(気道 肺)の異常でなくなることがほとんど。
そして、呼吸器系が突然おかしくなって死に至るというのは、異物がつまって呼吸できなくなる、アナフィラキシーで急に呼吸ができなくなるということ以外にそれほど急速に悪くなることはない。
正直今の現状は、今まで以上に需要が多すぎて供給はできません。全てに応えることはできません。システムを変えて対応するだけでなく、需要を減らす意識を国民の皆様にも持っていただかないと。その意識とは、
「医療リテラテシー」を高めることで、適した受診をすることです。
そして、その情報は、個人の医師が発信しているものではなく、それぞれの地域の中心となっている病院が発している情報や医療情報をしっかりとまとめたサイト(これを医療者ではない人が見つけるのは難しいのも問題なのですがMEDLEYというものとかを参照されるのもいいかもしれません。他にいいものがあれば教えてください)
医療へのアクセスがいいということは、とてもいいことなのですが、需要が供給を超えていることと、現実問題の医療経済の問題で社会全体の経済問題としても大きいということ。
これらを踏まえて「医療をどこに届けるか」
ただ、年齢で医療を届けるとか届けないとか、そういうのではないんです。
人がそれぞれの死生観、人生観を持って、自分の人生を考えて毎日生きて欲しいと思います。
そして、どのように死を迎えるのかを家族と日々話しあっていてほしいと思います。
長く生きることが本当に幸せなのか。長く生きれなければ幸せではないのか。何歳まで生きれば幸せなのか。
戦争を経験していない日本人が「人の死に対して具体的に真剣に考える機会が少ない」ので環境の問題もあると思いますが、ぜひ今一度ネガティブな感情ではなくそれぞれの人生観を考えてもらいたいと思います。