最近毎日のように、病院が潰れた、赤字だ、統合した、ある診療科がなくなった。こんなニュースばかりです。直美(直接美容外科に進むこと)も取り沙汰されていて、医療の質も担保することが難しくなってきています。
ただ、これは北海道で10年前にもう直面していたことであり、全国がそこに追いついてきたという印象。10年先を見てきた経験はとても大きい。現状避けられないのは、医療の集約化です。最先端の治療や、ある程度マンパワーを要する集中治療や外科手術、整形外科手術、特殊領域の内科診療など、これらは10ー20万人の医療圏に1つどこかに集約化していかなければいけません。ここに関しては、診療報酬も上手についているように思います。さて、地方における「集約化の先に残る医療」をどうやって守るのか。そしてそこにどのような診療報酬をつければ回るのか。ここが議論の的だと思います。以前から言っているように、「集約化の先に残る医療」は以下のようなものです。
1.救急対応(マイナーエマージェンシー+高齢者救急+重症患者の初期対応→高次医療機関への搬送マネージメント)
2. 慢性期疾患 入院対応(感染症 心不全 圧迫骨折など 癌やCOPDの緩和ケア)
3. 予防接種
4. 小児科診療
5.リハビリ
これらを複数人のチーム体制で診ていくことで、医療の質の担保を行うことと少数の医療者で対応ができるようになります。医師の人件費を考えた場合にはまんべんなく出来る医師を複数人揃えた方がコスパがいいですよね。
そこで、今国は総合診療医を育てるように舵を切っています。この総合診療医といっても特に外傷や小児診療も見ることが出来るrural Generalistタイプの医師を必要としています。ここが育たないことには、集約化が出来ないからです。医師の中でもいろいろ言う方がおられますが、それぞれ臓器別専門科としてそこに注力をしたいのであれば、総合診療に興味のある若者に対してネガキャンしないでほしい。彼らが総合診療医として立派に育ったら、回り回って、自分たちの助けになるはずです。そして、彼らに、臓器別専門医として、「ここまでは総合診療医に診てもらいたい」という内容の指導をしてあげてほしい。
国がてこ入れしようとしているのは今の大学生たちです。教育で少しでも変えていきたいと。いいことだと思っていますし、長期的に見てもこれから20年先まではそこがある一定数いないと困る世界が待っていると思っています。ただ、急務として今の5ー8年がかなり問題です。医学生たちに教育をしても彼らが医師として働き始めるにはまだ5年ー8年かかります。今の初期研修医や専攻医2級に総合診療に興味を持ってみたら?というのはかなり難しいでしょう。限られた医療者で「集約化の先に残る医療」を支えなければいけません。私世代よりも少し上の世代は、general の診療をする研修を受けていない世代ですので、彼らが1番苦しいかもしれません。集約化の波にどう対応するのか。集約化の先に残る側の医療機関で生き残るためにはどうするのか。私たちの少し下の世代は、柔軟な考えがあれば対応はしやすいはずです。どっちに振っていくのか?
自分が医師としてやっていきたい内容はなにか?と同時に、どんな50代を過ごしたいのか。どこで生活をしたいのか?これを考えれば自ずと自らが選ぶ方向は決まっていくはずです。都市部で生活をしていきたいという人は、間違いなく集約化の病院で働いていくことを求められます。または療養病院、クリニック。勤務医として中規模病院という選択肢はほぼなくなると思います。
一方、非都市部で生活をしたいと思っている医師は、ほぼ間違いなく「集約化の先に残る医療」を担える人材のニーズが高いはずですので、それに向けたトレーニングをしていかなければいけません。自分はこれしか出来ないのでこれで雇ってくださいは、難しい時代になるでしょう。
でも、これは避けられない時代の流れです。いいとか悪いとかではありません。若年層が少なくなる国の宿命です。どのように積極的なダウンサイジングをしていくか。そして、あるプラトーでどのようにバランスを保っていくか。ライフラインとしての医療ニーズをどのように提供するか。そこを意識しなければいけません。そして、ライフラインなので、行政や住民ともしっかり話さないと難しいです。医師や薬剤師、看護師、また国家資格を有するその他技師などは、正直、どこででも働くことが出来ます。仕事を求めて都市部に行くことはとても簡単です。地域(rural)に医療を残すためには、病院管理者の努力だけではもう無理です。魅力的な町であるとか、都市部よりも給与を出せるような予算を組むとか(オーストラリアのへき地では、あたりまえのように行われていました)。
面で支える医療をどのように展開していくのか。
地域(rural)は人口減×病院加算が取りにくい規模感の病院=基本負け戦
これをどうやって楽しんでいくか。基本は誰がやっても負け戦であることは明白。これを、筋を通してちゃんとやっても負け戦になるのであればもうそれは仕方ない。でも、何か策はないか?と楽しめるかどうか。
2026年度も頑張りましょう。

