ヴィクトール・E・フランクル作 池田香代子訳の「夜と霧」を初めて読みました。
たくさんの方がもう読まれていると思いますが、人間とは何か?
この問いに答えた本だと思います。
内容に入る前に、池田さんの翻訳がとても素晴らしいです。現代の私たちが読むにあたって、違和感のない、かつ収容所での生活を想像するに難くない表現。
この本を読もうと思ったのは、大好きな「神様のカルテ」の奥様ハルの愛読書だったから。
この池田さんの文体と、神様のカルテの夏川さんの文体がとても似ているように感じました。すーっと入ってくる感じ。
「夜と霧」は、第二次世界大戦のポーランド、アウシュビッツ収容所の話です。収容所生活を送った心理学者が生還して、人間の心理がどのような変化を遂げるのかを時系列で表現しています。
収容所前
収容中
収容後
今の日本で、これほどまでに、心身共に追い込まれて生活をしている人はいないと思います。一部わずかながらにおられたとしても、死が隣り合わせであるという現実をマジマジと感じながら生きている人はごく限られた人ではないかと思います。ギリギリのところで生きていくときにどのように考えるか、どのように感じるかで人は真価を問われるのだと感じました。フランクルは、フロイト、アドラーに師事したということもあって、このあたりも興味深かったです。アドラーの考え方もとても好きです。
以下、特に印象に残った一文をメモしておこうと思います。
ひとりひとりの人間に備わっているかけがえのなさは、意識された途端、人間が生きるということ、生き続けるということに対して担っている責任の重さをそっくりとまざまざと気付かされる
自分を待っている仕事や愛する人間に対する責任を自覚した人間は生きることから降りられない
自分が「なぜ」存在するかを知っているので、ほとんどあらゆる「どのように」も耐えられるのだ
未来のことは誰にもわからないし、次の瞬間何が起こるかすらわからない
あなたが経験したことは、この世のどんな力も奪えない
人間の内面は、外的な運命よりも強靱なのだ